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2020-21FISアルペンワールドカップ開幕戦後 浦木健太ヘッドコーチ インタビュー

2020-10-21 (水) 10:39


 

コロナ禍で始まったアルペンワールドカップ
若返りを図ったTEAM JAPANは今シーズンどう戦っていくのか!?

 2020年10/17(土)、18(日)今シーズンもFISアルペンワールドカップがオーストリア・ゼルデンで開幕した。女子からは安藤麻(日清医療食品)、男子は加藤聖五(野沢温泉SC)がそれぞれ出場。安藤は1本目DNF。加藤も1本目35位と2選手ともに2本目に進出ならず。いまだ収束の目途もたたないコロナ禍のなかで開幕したワールドカップを日本チームはどのように戦っていくのか!?浦木健太ヘッドコーチへのインタビュー。
コロナ禍で始まったシーズンでの活動。大幅な若返りが図られた日本チームとベテランに与えられたチャンスなど、レースが開催された安堵感と今シーズンの展望を語る。


無観客で行われたゼルデン・ワールドカップのゴールエリア
一日でも早いコロナの収束を願うばかり

SnowMAP:まずはレースが開催されてよかったですね。
浦木HC:日程の調整も含めて、絶対に開催するというFISの強い意志のもとによって無事に開催されたという感じです。

SnowMAP:無観客でのレースはどうでしたか?
浦木HC:ゴール付近で盛り上がる雰囲気は全くなかったが、選手はレースに集中しているので、そこまでの影響はなかったと思います。その分、選手含め移動などは余裕をもってスムーズに行われました。メディア関係も例年にくらべると少なかったと思います。また、選手と交わるエリアもかなり限定されていました。そのあたりはかなり厳しく感染対策が行われている印象です。次戦のフィンランド・レヴィは選手、関係者はチャーター便で入国できますが、メディア関係がどうなるのかは分からない状況です。

SnowMAP:今シーズン、国枠による出場枠は男女それぞれ1つずつという状況です。ゼルデンは安藤麻、加藤聖五の出場となりましたが、レースまでの調子はどうだったのでしょうか?
浦木HC:安藤の調子はよかったです。トレーニングでも他の国のトップ選手とほとんど変わらないタイムで滑っていました。本人もレース前は「いける!」という気持ちだったと思います。

SnowMAP:安藤は昨シーズン、スラロームで好調でしたが?
浦木HC:今シーズンはこれからGSでも結果は出てくると思います。昨シーズンよりいい状態だと思いますよ。

SnowMAP:加藤はTOP30まで0.18秒差という惜しい結果でしたが?
浦木HC:序盤でまずミスがあり、急斜面の区間でも少しふられるようなところがありました。ですが、あれだけ攻めていれば、あれくらいのミスはあると思います。もちろん、1つでもミスがなければ、あのタイム差であれば2本目にいけたとは思います。まずは自分の滑りはできたんじゃないかと思います。攻めた滑りを積み重ねていくことで、自分の中でデータとして出来上がっていくと思います。そうすることで2本目に残っていけると思います。
むしろ30番以内を目指す滑りよりも、シンプルにもっと速くなればミスがあってもいいわけなので、今からコンパクトにまとめるよりも、毎レース、思いっきり自分の滑りを出せるようにしていけば、チャンスは来ると思います。今回の滑りなら大丈夫でしょう。

SnowMAP:見ていて期待できる滑りでしたね。いいスタートとなったのではないですか?
浦木HC:春には遠征などに行きたかったのですが、もちろん全くできる状況ではなかったです。そのため雪上は9月からのスタートとなりました。滑走量としてはちょっと足りていないというレベルであったが、天候にも恵まれ、いい環境でトレーニングはできていました。そういった意味ではいいスタートではないかと。

SnowMAP:今シーズンはナショナルチームのメンバーもだいぶ変わったところはありますが、そのあたりはどうですか?
浦木HC:ワールドカップでトップ30に入ることも大事ですが、もっと長期的な視点で勝てる選手を育てなければいけないと感じています。そういった意味では、これまで常連のように入ってきた選手たちにはかなり厳しい選考基準になったと思います。ある程度、実績のある選手でワールドカップ、トップ30に入れないという状況では、これから若い選手が出てくるなかで当然チャンスは少なくなります。厳しいかもしれないが、長期的な視点で基準をつくり、その結果が現状のメンバーです。若い選手にはまだ、そこまで厳しい基準を設けていないので、チーム入りしたことで切磋琢磨していくことを期待したいです。

SnowMAP:若返りはもちろん大事だと思います。一方、世界で戦う経験を持ったベテランが不在です。そういった状況でのチームとしての運営は?
浦木HC:今シーズン、シーズン中にある程度のリザルト(ヨーロッパカップであれば8位以内を1回、もしくは15位以内を2回。FISポイントで15点を1回など)を出せばナショナルチームと帯同できるチャンスが設けられました。年内開催予定であった中国でのファーイーストカップがなくなったのでFISポイントということは難しいが、現状メンバーから外れている大越龍之介、湯浅直樹、石井智也といったベテラン選手たちにもヨーロッパカップでリザルトを出せば、ワールドカップに出場するチャンスは十分に残されています。彼らのモチベーションにもなっているでしょう。

SnowMAP:若手、ベテラン問わずチーム内で競うということが大事ですよね。
浦木HC:そうですね。やはり目的を明確にすることですね。ワールドカップに出場することではなく、結果を出すということにしなければいけないと思います。

SnowMAP:今シーズンは世界選手権もスケジュールされていますが、開催するという状況でしょうか?
浦木HC:FISとしてはまず、ワールドカップを開幕させること。そして世界選手権も開催することを大きな目標としてとらえているようです。
SnowMAP:世界選手権の出場基準はどうでしょうか?
浦木HC:すでにSAJからも発表はされているのですが、ワールドカップランキング60位以内というのが基準となります。女子では安藤麻は決定といっていいでしょう。当然、ほかの選手はワールドカップでリザルトを残すことが求められます。

SnowMAP:開幕戦を見る限りではノルウェイチームの強さが目立った印象ですが?
浦木HC:ヨーロッパカップでも上位にかなりの人数が食い込んでいます。それでもヨーロッパカップで2位、3位ではメンバーから落とされることもあります。チーム内でのかなり厳しいハイレベルな争いですね。
SnowMAP:日本チームもいずれは?
浦木HC:どこまで厚い層を築けるかは分かりませんが、少なくとも日本チームとしてあがっていかないといけないと思います。皆川賢太郎、佐々木明、湯浅直樹の時は日本チームという雰囲気もありました。今シーズンは小山陽平、加藤聖五とそれぞれ結果を出していくことで、1人でやるよりも2人、チームとしてやっていくことが大事だと。様々な面から見てもその方がいいことしかないと思います。

SnowMAP:ワールドカップも新しいスケジュールが出た状況で今シーズンの活動、またチームとしてのコロナ対策はいかがでしょうか。
浦木HC:すでに新しいスケジュールに合わせてスケジュールを組んでいます。新しいスケジュールでは同会場で2種目行うなど、移動もなるべく少なくなるようにスケジュールされています。日本チームとしてはアルペンに限らず、変わらずにインスブルックを拠点に活動します。感染対策としてはそれぞれの国、地域でのルールに則り、食事などに関しても人数を限定するなど、出来る限り徹底しています。ゼルデンでの開幕戦では選手、スタッフ含め72時間以内のPCR検査の陰性証明を出して出場、現地入りが認められるという形になっています。これが基本ルールとして今後も続いていくと思われます。選手、スタッフそれぞれの結果を確認する作業はどきどきします。一人でも陽性がでるとチームとして活動できなくなる可能性もありますからね。

SnowMAP:今シーズンはレース以外の面でもかなり大変なシーズンになるかと思いますが、がんばってください。
浦木HC:はい。がんばります。みなさん日本チームを応援してください。
 
2020年10/20(火)開幕戦後の電話インタビューより
写真提供:浦木健太(SAJ)
 
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