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加藤聖五、W杯最終戦を掛けた終盤戦のレースに期待。
2024-02-24 (土) 15:43
いよいよ、FISワールドカップは終盤戦へ
男子はヨーロッパ大陸から、北アメリカ大陸に移動。GS3戦、SL2戦、合わせて5戦がアメリカで行われる。
そこで、最も期待が掛かるのが1月末にオーストリアシュラドミングで行われたGSで見事アジア人最高位タイの20位に入った。加藤聖五選手だろう。
シュラドミングはナイターレースで行われる。
この日は気温が高く、日中は雨。ただレース前には雨は止み気温も下ってスタート時には上部の雪はしっかり固まり、締まった良いバーン状況だったという。
加藤選手は1本目、52番スタート。
加藤選手は「1本目の滑り・・・前半の緩斜面は、しっかりエッジが噛みレールターンで乗れてフィーリングはかなり良かった。急斜面の入り口でイメージよりも真っ直ぐ入り過ぎて失敗をしてしまったが、なんとか持ち直して滑りきった印象」と述べている。
結果はトップから2秒34の差で28位。W杯で1本目30位までに入らないと2本目に進めない制度を採用して以降、日本人のGS競技において2004年の佐々木明ぶりの2本目に進み20位となった。
©Thinichiro Tanaka
そして、続く2本目の滑りは常に上位に名を連ねる外国選手に引けも取らない見事な滑りだった。2本目はトップと1秒38差の12位、トータル2秒74差の20位でフィニッシュした。この結果は日本人、いやアジア人にとってもGS最上位となった。
本人の感想は「上部は体の動きと滑りがマッチングしていなく2度ほど外に振られるミスをしていた。それを取り戻すように後半は集中して滑った」と冷静に状況分析をした上で「20位という結果は嬉しいが、上部のミスがなければもっと戦えていた」と意欲も見せ、最後に「日本人でもGSで戦えるぞというところを証明出来たことが大きい。」と述べた。
また、現在カップポイントは40位。もう一度、同じような結果が残せれば、上位25位までしか出られない最終戦にも希望がつながると意欲を見せていた。
©Shinichiro Tanaka
苦しいチーム状況の中、結果を出し見てもらうしかない
実は、今季のナショナルチームの状況は非常に苦しい。予算減に加えて、円安によるユーロの高騰(2020年120円→2024年163円)や、物価高がチームを圧迫し続けている。そんな苦しい状況で生まれたこの結果に男子コーチの河野コーチは「聖五の結果は、本当に良かった」と振り返る。
支出を減らすために、今季からは練習場所を都度設定してホテルで過ごすスタイルから、オーストリアに一軒拠点を構え、そこを軸にレースに出向いたり練習を重ねるスタイルを取っている。
そんな生活に加藤選手は「ホテル生活だと大体二人部屋が多いが、今は一人一人部屋があるのでプライベートが保たれて気持ちのリセットがしやすい」という。苦肉の策ではあったが、その生活スタイルが加藤選手の好調を後押ししているようだ。ただ、食事は自炊で柏木トレーナーを中心にスタッフが担当している。それ以外にもいろいろな部分でスタッフへの負荷は増えている。
コーチ陣は限られた活動費で日々頭を悩ませており、現に予算の関係でアメリカには柏木トレーナーが帯同できていない。
そんな中でそれぞれがやれる事、やるべき事に集中し、環境を整え、戦いに挑み続けた結果がW杯GSアジア人初の20位に繋がったのだろう。
W杯の終盤、更なる好成績を残し、最終戦への期待を高めて応援して欲しい。
そして、まだまだ日本チームもやれるというところを見てもらい、来季は、そんな選手達に期待を募らせたスポンサーが集まることを願う。
アメリカのレースは、パリセーズ・タホで本日24日10時(現地時間)からGSが行われる。
中継は、J-SPORTS3もしくはオンデマンで本日26時45分(25日深夜2時45分)から放送される。
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