REPORT/COLUMN レポート/コラム
万博で“ウィンタースポーツ”を探す旅
2025-08-27 (水) 12:28
取材・文・写真=N.KEIGO 同行=プロスキーヤー 佐藤栄一

ある情報筋から、万博のパビリオンでスキーの展示があるという。SnowMAP的には、是非、観に行かなくてはということで「万博でウィンタースポーツを探す旅」と銘打って万博へと出かけました。
猛暑の万博会場に冬を感じる展示が本当に有るのか!半信半疑ながら、私とたまたま大阪でスケジュールが合ったプロスキーヤーの“佐藤 栄一”さんと朝一番で向かいました。
会場の最寄り駅、Osaka Metro中央線「夢洲駅」を降りれば、すでにそこは万博一色。佐藤さんは、早速、夢中で写真撮影。高揚感に包まれながら、いよいよ入場です。

■ 最初の発見はジャマイカ館
とにかく広い、万博会場。さあ、どうやって探そうか・・・とりあえず全体を見渡せる「大屋根リング」に上がりました。日差しは強いものの浜風もあり心地よい大屋根リングは、一周なんと約2km。そして万博会場全体は、阪神甲子園球場が約40個ほど入るというスケール感。これだけ大きな会場の何処にスキーが展示されているのか?私たちは、大きいパビリオンには展示されていないと予測。手にしたマップとにらめっこして、小さなパビリオン群の「コモンズ館」に目星をつけました!

まず、その場から一番近いコモンズB館へ。
しかし、ここに並ぶ国は、赤道直下の国ばかり。さすがにウィンタースポーツ関連は無さそうだ…と思いながら歩いていると、予想外の光景が飛び込んできました。
ジャマイカ館にボブスレーが!
展示されていたのは、映画『クールランニング』で有名なジャマイカカラーのボブスレー!しかもジャマイカ・ボブスレー代表チームが実際に使用しているトレーニング用ソリです。
そして、そのソリに実際に乗り込んで写真が撮れというのです。思わず佐藤さんも記念撮影!

まさか、ジャマイカ館で最初の“ウィンタースポーツ”に出会えるとは! 幸先の良いスタートとなりました。
■ スロベニアの国を象徴する産業“スキー”
別のコモンズ館に移動する前に、次こそはスキーを展示してあるパビリオンを見つけようと・・・再びマップとにらめっこ!
ターゲットは冬季オリンピックやW杯で目にする国を探します。するとコモンズC館にありました。スキーアルペンW杯のクラニスカ・ゴラで有名なスロベニアの文字。胸を高鳴らせてコモンズC館に向かい。スロベニア館を探すと!しっかりと展示してありました。ELANの新旧のスキー板が展示されているではないですか!

スキーの展示に心躍り、スタッフの方に少しお話を聞きたいと声を掛けてみました。
すると奥から、スロベニア館の館長ゴラズドさんが登場。スロベニアとスキーとの深い関係性について語ってくれました。
自然豊かなスロベニアにおけるスキー観光と産業の位置づけ
国土の約6割が森林に覆われ、アルプス山脈をはじめとする山岳地帯を有する同国では、古くから農民の冬季移動手段としてスキーが活用され、その後、観光資源として、また産業として発展し、現在では国の経済と国際的なブランドイメージを支える重要な分野のひとつにもなっているそうです。
そのことからも、スロベニアにとってスキーは単なるスポーツではなく、歴史・文化・経済に深く根付いた存在なのだそうです。
また、またスキー製造は『ELAN』のような世界的ブランドを持つ産業として国際競争力を誇っています。
スロベニアのスキーは、同国の自然環境と国民性、そしてスポーツ文化が結びついて形成された「国を象徴する産業」なのだとゴラズドさんは教えてくれました。
他の欧米スノーリゾートとは一線を隠した魅力
スロベニアのスキーリゾートの特徴は「家族連れや初心者に優しい環境」にあるそうで、ゲレンデは比較的緩やかな斜面が多く、子どもや初心者が安心して滑ることが出来、その地の利を活かしたスキー学校も整備されているそうです。
また、スロベニアのスキー場は「スキーだけに依存しない点」に特色があり、温泉施設や子ども向けプログラムと併設されるケースも多く、夏季には自転車やハイキングを楽しむ場としても利用され、「通年型リゾート」として発展しているそうです。

スキー観光と産業の将来
将来への展望としては、木材の強みを活かしつつカーボン素材を組み合わせた技術革新が進んでいるそうです。また、山岳スキーやツーリングスキーなど、新たなスタイルのスキーも普及してきており、それに順応するための技術革新にも期待が持てると話してくれました。
こうした技術革新はスロベニア人が持つスポーツ文化とも密接に結びついていて、今後の産業発展を支える原動力となっていくだろうと期待していました。

アルプスの自然に抱かれ、家族連れにも優しいゲレンデ。エラン社を中心に世界的な技術力を誇る製造産業。話を聞くうちに、スロベニアがどれほどスキーを大切にしてきたかが伝わってきました。
佐藤さんは「これは一度行ってみたい」と真剣な眼差しでつぶやいていました。
■ 白馬から未来を伝える映像
目的だったスキー展示を観ることが出来た私たちが昼食をとっていると、佐藤さんの携帯が鳴り、耳寄り情報が飛び込んで来ました! 技術選で共に戦っているスキーヤーの映像が「大阪ヘルスケアパビリオン」で流れているというのです。この機会を逃してはならないと、早速、その会場に向かいました。

入ってみると・・・光が降り注ぐ幻想的な空間に再生医療やミライの人間洗濯機を展示していました。ただ、スキーの映像はどこにも流れてなく、今一度確認をしてみると、どうやら2階の予約が必要なエリアで映像が流れているそうです。
もちろん、事前予約は出来ていなかったのですが、今回は特別な配慮で、見学させてもらうことになりました!

案内された場所は、ミライのヘルスケア2というスペース。入ってすぐ左手のSyncMOF株式会社による展示のモニターで映像が流れていました。登場するスキーヤーは、元モーグル日本代表の“上村 愛子”さんと、技術選で活躍するSAJナショナルデモンストレーター“丸山 淳也”選手。場所は、八方尾根スキー場で白衣を着たスキーヤーやスノーボーダーがヘルメットの上に何かの器具をつけて滑っています。

動画の内容は、その頭の機器で大気中の二酸化炭素(CO₂)を回収し、燃料に変える最先端の技術を紹介する映像でした。
ロケ地になった、長野県白馬村では大気中の二酸化炭素(CO₂)を回収し、燃料(メタン)へと変換する実証実験を進めているそうです。
会場で流れている映像は、こちらでも公開しているので是非見てみて下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=vA2VY6paOzU

ウィンタースポーツを追い求めていただけなのに、すごい画期的で最先端の技術を知ることが出来ました。なんだか、とっても得した気分。情報をくれたスキーヤーにも感謝です。
それにしても、この暑い夏に、白銀を駆け抜ける爽快感を目にすると、真夏の熱気を忘れ、涼しい風が吹き抜けるような感じがしました。
■ 万博で見つけた“三つのウィンタースポーツ”
今回の滞在時間は約5時間ほど、とてもじゃなく全て回れることは出来ませんでした。
もっともっとウィンタースポーツを感じる箇所があったのかもしれませんが、なんとか三つウィンタースポーツを感じられる場所を見つけることが出来ました。
万博の開催期間は10月13日までとなっております。是非、万博に足を運び、僕らのような違う視点で万博を楽しんでみて下さい。
EXPO 2025大阪・関西万博の公式HPはこちら
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